「あ、私これが良いなー。
なんかヒーローっぽい」
真弓はそう言って、特撮のヒーローが乗ってそうな、カウル付きのバイクにまたがった。
「良いセンスしてるなー。
多分、全国初だぞ、
レプリカに乗ったレディース」
千秋さんは腰に手を当てて、クスクスと笑いながら言った。
「これで走ったらヒーローになれますかね?」
「まあ、
ある意味、伝説になるだろうな」
「じゃあ、これにしよっかな」
真弓は真剣にそう言い、私は呆れた表情を千秋さんに向けてクスッと笑い、振り返って後ろの単車に目を向けた。
「750…RS?」
店内に並ぶバイクの中で、異彩を放つ不気味な程に綺麗でスマートな単車に目が止まり、
私はハンドルにぶら下げられた値札に書かれた文字を読み上げ、
英二達が言っていたナナハンという言葉を思い出した。
「ああ、ゼッツーな。
カッケーだろ?
族車の王様」
「…へえ、これがゼッツーですか」



