しばらくすると、
千秋さんはコーヒーを手に戻ってきて、私達の正面のイスを引いて座った。
「RZ乗るなんてシブいね、
どっちの?」
タバコに火をつけた千秋さんに聞かれ、私が答えた。
「いえ、借り物なんです、あれ」
「そっかあ、まだ卒業したばっかだもんな」
「はい、もう少ししたら、自分の単車を買おうかと思ってます」
「へえ、何の単車乗りたいの?」
「真弓と雑誌を見ながら悩み中なんですけど、実際に見てみないとピンとこなくて…」
「目の前に実物あるじゃん。
しかも竜一の趣味で、族車に使われやすいのばっか」
そう言って千秋さんが店内の単車に振り向き、真弓が答えた。
「見てきていいですか?」
「またがったりしてもいいよ。
音が聞きたい単車あれば、エンジンも掛けるし」
「ありがとうございます」
私と真弓は立ち上がり、原付バイクを買う時は気にしていなかった単車達を見に向かった。



