「狐道の話は出なかったの?」
「…ああ、出たけど、
別に私をからかうネタに軽く出しただけで、特に何も言ってなかったよ」
「…ふうん、変なの。
普通はさ、真っ先に話が上がるだろ。
自分らを潰そうとしてるんだから」
言われてみると、先輩達は不自然なくらい、狐道の話を持ち出してこなかった。
あれだけの事件があったら、真っ先に対策を練るのが先決なのに、
悠里達が学校へ普通に出ている事を考えると、私の知らない所で何か動きがあったとも考えにくい。
「…もしかして、
私が帰らされた後の話し合いで、狐道をどうするかとか決めるのかな」
「いや、それなら尚美は残されるでしょ。
悠里とか言うワンレンとの決着もついてないし、仮にも親衛隊長なんだから」
「…たしかに。
じゃあ、何を話し合ってるんだろ。
狐道の件より優先にする事なんてねえだろ」
「まあ、そのうち嫌でも分かるだろ。
あれだけタンカ切ったワンレンが、このまま動かない訳ないし」
「…そうだな」
「とりあえず、風呂でも入ってこいよ。
なんか酒臭いよあんた。
隣で寝たら酔っ払っちまう」
「うん」
そう言って立ち上がり、部屋のドアに手をかけた私はピタリと立ち止まり、
真弓に振り返った。
「真弓」
「ん?」
「さっき、
若干、カツオの姉さん入れてたろ」
「うん」
「……。」
「……。」



