尚美~最後のレディース









それから一週間程が過ぎ、


6月に入ったこの日、私は給料袋から五千円札を4枚抜き取った。








「真弓。

おばさんに食費渡すからさ、この2万、半分はお前が出した事にして」



「なんで?

つーか渡すなよ、そんなもん。

もったいねえだろ」



「そういう訳にはいかないの。

いいから話、合わせろよ」






私はそう言って部屋から出て行き、一階へ降りた。






「おばさん、これ私と真弓の食費に当てて下さい」






台所へ行き、煮物を作っていたおばさんにお金を差し出すと、おばさんはキョトンとした表情を見せた。






「気にしなくていいわよ。

ご飯なんて、3人分も4人分も変わらないんだから」



「でも、そういう訳にはいきません。

半分は真弓の給料なので、受け取って下さい」







そう言うと、真弓の母親はクスッと笑った。








「あははは。

あの子が家にお金入れる訳ないでしょ。


せっかく頑張って稼いだお金なんだから、自分の為に使いなさい」



「でも…」



「ここに居る間は、尚美ちゃんはウチの子でしょ、

お母さんの言う事は聞きなさい」



「……。」








真弓の母親はクスクス笑いながらそう言った。