言われてみると、自分が何かに熱くなった経験なんて、私は何も思い当たらず、
ただ、なんとなく不良の延長線上として行き着いたレディースの世界が、こんなにも私の血をたぎらせるとは夢にも思わなかった。
「…もっと、前に行きたいな…」
「ええー?なんか言った?」
爆音が響き渡る集団の真ん中に閉じ込められた私は、
特攻服を羽織り、道路を走る以上、誰よりも自由なはずなのに、
なぜか、カゴの中に閉じ込められた鳥の様な気分になり、
無意識にアクセルを開けていた私は、気付くと麗子さんのハコスカを追い抜いていた。
「尚美!下がれ!
特隊より前に出んな!!」
麗子さんはクラクションを鳴らしながら、顔を出してそう叫び、私はクラッチを切ってアクセルを手放した。
「……。」



