スプーンで湯呑みをかき混ぜた美帆さんは、スッと立ち上がり、
部屋の右奥にある、シーツが掛けられた洋服掛けの前に行き、シーツをスッと下に引いた。
「暴力の支配者、
国家権力の支配者。
それらは確かに、強い力と言っても過言じゃない。
けど、
この世界で、私が思う食物連鎖のテッペンに居る人間は、金の支配者」
「…金の支配者?」
「……。」
美帆さんは、綺麗に並ぶスーツの中に紛れていた、紫色の特攻服に手を掛けると、
手にした特攻服を、バサッと床に投げ置いた。
「いつの時代も、
支配者を支配できるのは、金の力だけ。
単純な話、金持ちは誰にも殺されないの。
守りたければ守れるし、壊したければ壊せる。
その力に見合った場所でなら、自分の桃源郷をも作れる」
「…桃源郷?」
「私はただ、
その桃源郷を作りたくて、彼らを利用してるの」
「……。」



