「あった、あれか」
住宅街をしばらく徘徊していると、群青色の屋根のアパートを見つけ、住所を確認しながらアパートの敷地に入り、
一階の角部屋のドアをノックした。
「いらっしゃーい。
あ、千春ちゃんも来たんだ」
親近感の湧くラフな部屋着姿で、美帆さんがドアを開けた。
「お久しぶりです」
「さ、入って入って。
狭いけど」
「お邪魔しまーす」
想像していた家と全然カケ離れた、庶民的な部屋へ私達が足を踏み入れると、そこには、
「…ハッ、
コタツにミカン」
「コタツにミカンだな」
部屋は1Kで、お世辞にも立派とは言えない年季の入ったアパートの室内。
「ミケ猫が寝てたら完成ですね」
「あはは、なにそれ。
お茶と梅昆布茶、どっちが良い?」
「…あ、出来れば冷たいので」
「うん、わかった。
ちょっと待っててね」
美帆さんはそう言って台所へ行き、私達は部屋の中を見渡した。



