翌日の朝、私は母親がドアをノックする音で目を覚ます。
「千秋ー、電話よ。
桐島さんって人」
「……。」
半開きの目を目覚まし時計に向け、私はゆっくりと身体を起こし、一階の居間へ降りて行った。
「…もしもし」
「おはよーっ!千秋ちゃん」
「…おはようございます。
どうしたんですか、こんな朝早くから」
「ぬか漬け出来たから、取りにおいでよ。
住所言うね」
「えっ…あ、ちょっと待って下さい、紙…紙…」
電話の脇に有ったメモ帳に、私は美帆さんが教えてくれた住所をメモった。
「…へえ、街中から近いんですね、美帆さんの家」
「うん、場所わかりそう?」
「はい、大丈夫ですよ。
この住所の小学校と、ミニバスの時、よく練習試合して行ってましたから」
「そっか、じゃあ待ってるね。
群青色の屋根のアパートだから」
「はーい」
美帆さんとの電話を終えた私は、しばし教えられた住所をボーっと見つめ、
置いた受話器を再び手にした。
「あ、千春?
ごめん、寝てた?
今から美帆さんの家に行くんだけど、千春も行く?
うん、わかった。
じゃあ、用意したら行く」
敵情視察と言う訳ではないが、なんとなく、千春も連れて行く事にした。



