オイル交換が済むと、竜一君は再びマッハのエンジンを掛け、
軽くアクセルを拭かしながら、マフラーの先に視線を向けていた。
「お前、こいつ乗りやすい?」
ふと、竜一君に聞かれた。
「うん、別に乗り辛くはないよ。
他の単車は竜一君のしか乗ったこと無いけど」
「…ふうん。
バスケやってただけあって、相当、ごっつい腕の力してんだろうな、お前」
「失礼な。
この華奢な二の腕を見てみろ、これでも、か弱い女の子です。
まあ、今でも筋トレしてるけど」
私はそう言って、二の腕を見せながら、パンパンっと腕を叩いた。
「か弱い女の子ねえ〜。
お前、こいつが何て呼ばれてるか知ってる?」
「マッハでしょ。
あ、カミナリマッハだっけ?」
すると、竜一君はクスッと笑いながら言った。
「じゃじゃ馬」
「じゃじゃ馬?」
「曲がらない、止まらない、真っ直ぐ走らない。
だけど、速い。
おてんばな不良女には、ピッタリの愛称だよな」
「誰が不良だ。
私はか弱い普通の女の子です」
「普通の女の子は暴走族なんかやらねえよ…」



