タバコの煙をフウーッと吐き、灰皿に火を押し当ててコーヒーカップを掴む美帆さん、
私はすでに、紫禁嬢の話など頭から抜け、美帆さんの話に聞き入っていた。
「その時さ、思ったの。
人を傷つけて手に入れたパンでも、飲み込んじゃえば、空腹は満たされるんだって」
「……。」
美帆さんの目が、
あの日、国道の上で見た時の様に、いつの間にか冷たく凍りついていた。
「力の無い人間が地獄を見る世界なら、
生きる為に邪魔なモノはいらないから、食物連鎖のテッペンに登りたい。
それが、12才の時、私の中に芽生えた野心」
「……。」



