―その街はね、私と歳が変わらない、10才にも満たない子供が、大人にナイフを差し向けるの。
たった50セントのパンが食べたくて。
人が刺されたって通報があっても、警察が通報を無視する様な街だったけど、私みたいなストリート・チルドレンが何人も居て、
明るいニューヨークの街を振り返ったら、なんだか眩しすぎて戻れなかった‥‥。
―じゃあ、美帆さんはそのスラム街で、小さい頃を過ごしたんですか…
―10才だった私が、その街で生きるって決めて、最初にやったのは男装。
―男装?
―体系が目立たない服を洗濯物から盗んで、ゴミ捨て場で拾った帽子を深くかぶったの。
勿論、スラム街で出来た仲間や、一部の奴らには、女ってバレてたけどね。
―壮絶な人生ですね…
私がそう言うと、美帆さんは遠い目をしながら灰皿にタバコの灰を落とし、クスッと笑った。



