喫茶店へ入り、向かい合わせに座ると、
美帆さんはツボを膝の上に乗せ、気まずそうな顔をしていた。
「説明して下さい」
「…しなきゃダメですか?」
「はい」
「……。」
美帆さんは苦笑いしながら壺を横へ置き、オーダーを取りに来た店員に、コーヒーを2つ注文した。
「で、何でメイファンなんて名前を名乗ってるんですか」
私が聞くと、美帆さんは小さく縮こまりながら答えた。
「…はい、すみません。
本名は、メイファンです」
「え?
でも、診察券に美帆って…」
「……。」
すると、
美帆さんは、バッグから手帳とボールペンを取り出し、
適当に開いたページに何かの文字を書き、そのページをビリッと破き、私の前にスッと置いた。
「おう…みほ…?」
紙に目を向けると、
そこには王美帆という、三文字の漢字が書かれていた。
「王美帆(ワン、メイファン)
私の旧姓」
「…旧姓?」



