庭のフェンスの外から咲希が呼ぶと、私達に気付いた風吹君が、こちらへ向かって歩いてきた。
「よう、何してんだよ」
「兄貴、バイク屋連れてって」
「風間さんの店か?
明日ならいいぞ」
「今がいい」
「今日は無理だって。
準備で忙しいんだよ」
「準備?なんの?」
「鯉のぼり暴走」
5月5日の今日、子供の日の夜に行われる流しは、毎年、県内のチームがほぼ全て集結する一大イベントの1つ。
「ええ〜…
今日がいい〜。
じゃあ場所だけ教えてよ、ウチらだけで行くから」
「…仕方ねえなあ。
ちょっと待ってろな」
風吹君は、フウッと溜め息を吐き、軍手を外しながらイッセー君の家の中へ入って行った。



