「それ、見覚えある。
去年も机の上で育ててたよね。
何の花?」
ひみ子が出て行くと、咲希が机の上で大事そうに育てる花のツボミに、優しい表情で触れていた。
「桔梗」
「へえ、それキキョウだったんだ。
なんか、去年より短くない?」
「花が咲き終わったら切り戻しするから、そりゃ、短くなるだろ」
「次はいつ頃咲くの?」
「夏頃。
去年は、中総体の頃に咲いた。
今年は千秋も見に来いよ、スッゲー綺麗だから」
「うん、見る」
夏に咲く花のくせに、暑がりだからと言って、たまにしかベランダの外には出さず、
咲希の部屋の窓際と机の上を行き来する、ワガママな桔梗の花は、咲希が昔から一番好きな花だった。



