「へえ、
自販機の中って、こうなってんのか」
「バッ…バカ!
何やってんだよ!
これ、自販機荒らしされた後だろ!」
「でしょうね」
「指紋付けたらアンタが犯人になるぞ!!」
「やべっ!!」
久恵は私の言葉に慌て、勢い良く自動販売機を閉めるが、
上と真ん中と下に付いてあるフックの様な鍵の部分が、バールか何かで壊されたらしく、扉はしっかりと閉まらなかった。
「ひみ子!ハンカチ貸せ!」
「…ええ〜、そんな所拭くの〜…
今日のハンカチ、お気に入りなのに…」
「いいから貸せ!
私が少女Aになってもいいのか!?」
「大丈夫だよ〜、
別に悪い事してないんだから〜」
「冤罪って言葉知らないのか!!」
「おお〜。
難しい言葉知ってるな、久恵のくせに」
他人事の千春はそう言って冷やかし、ひみ子からハンカチを奪った久恵は、自分が触れた部分をゴシゴシと拭き始め、自分の付けた指紋を消した。



