無意識の行動だったんだろう。
自分の右手に視線を落とした世那は、はっとしたように一瞬目を見張った後、そっとその手を離した。
一方のひなちゃんはというと、照れたように目を伏せながら、頬を軽く染めていた。
少女漫画の世界に迷い込んだ気分だ。
見ているこっちがむず痒くなってしまうような、初々しくてピュアな雰囲気に不覚にも胸がときめく。
「羽森さん」
「は、はい」
「世那のこと、よろしくね。ないとは思うけど、もしも泣かされるようなことがあったら俺らに言って。バスケ部全員で世那のことぶっ飛ばすから」
俺の言葉に、ひなちゃんは小さく笑う。
「おうおう!まじで言ってな。ひなちゃんからの相談はなんでもウェルカム!」
「俺はひなちゃんの味方だから」
「俺も俺も!ひなちゃんの味方~!」
「ふふ。よろしくお願いします」
微笑みながら俺らにお辞儀をしてくれるひなちゃんを、愛おしそうな瞳で見つめる世那。
幸せが駄々洩れ状態の親友の立ち去る背中を見送りながら、自然と頬が緩んだ。


