日々、アオハル


「なー、波琉」

「んー?」


骨付きチキンに齧り付きながら世那とひなちゃんを見ていた佐野が、静かな声で俺を呼んだ。


「これ食ったら俺らは退散すっか」

「いいの?ひなちゃんと話したがってたのはお前じゃん」

「あの幸せ空間を邪魔すんのは野暮だろ。また別の機会にちゃんとひなちゃんのこと紹介してもらおーぜ」


佐野もこういう時はちゃんと空気が読めるんだな、と失礼ながらにも感心してしまった。


「ん。おっけ。じゃあ静かに帰るか」


そう話を纏めているところだった。


「「うわあああああ!」」


空気を読めないやつらが他に二人いた。


突然大きな声を上げる三宅と安達。更に机をバンバンと叩き始める始末。


「なに、どうしたの」

「い、今さ、ひなちゃんが世那の口に付いてたソースか何かを、ナプキンで拭いてあげてたんだよ!」

「うわー、やべー!世那がうらやましー!!」


俺と佐野が目を離した隙に、そんな微笑ましいことが起こっていたらしい。三宅と安達は「やべー、やべー」と机に突っ伏しながら興奮している。


「てかさ、もう少し静かにしろよ。世那に気付かれたらやばい……、」


騒がしさが心配になって顔を横へと向けると、数十メートル先の世那としっかり目が合った。その目は細まっていて眉間に皺が寄っている。


「あーあ、バレちゃった」


世那の視線を辿るように、ひなちゃんの顔が横にスライドする。俺らの存在を視界に入れると、驚いたように無垢な瞳が丸められた。