日々、アオハル


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大会の決勝戦までしっかり観戦した後、柊くんを待つために会場近くのカフェにやってきた。


ロイヤルミルクティーを飲みながら、イヤホンをはめてショート動画を見る。――のだけれど、困ったことに何一つ内容が頭に入ってこない。



『この大会が終わったら、羽森さんに伝えたいことがある』


柊くんの言葉が頭の中をずっと、ぐるぐるぐるぐる回っている。あの時の柊くんの照れたような赤い表情まで思い出してしまい、熱くなる顔を両手で覆った。


うぅ、緊張する……。


両肘をテーブルの上に乗せて顔を覆ったまま、挙動不審に首を俯かせている時だった。コンコン、とテーブルを鳴らす音が正面から聞こえた。


勢いよく顔を上げると、エナメルバッグを肩から下げるジャージ姿の柊くんが、テーブルに右手をつきながら立っていた。


「ひ、柊くん!」

「待たせてごめんね」


急いでイヤホンを外して動画が切り替わるスマホの画面をオフにする。


「もしかして終わったって連絡くれてた?ごめんね、私気付いてなくて……」

「いや、ごめん。連絡いれてなかった」


心の準備がまだ出来ていない私に追い討ちをかけるように、柊くんは真っ直ぐに私を見つめたまま言葉を続ける。


「早く羽森さんに会いたくて。解散してすぐ会場飛び出したから連絡するの忘れてた」


ごめんね。ともう一度謝罪の言葉を口にする柊くんに、首を横に振った。


「私もすごく会いたかったから、嬉しい」