日々、アオハル



「なあ」

「なんだよ」

「なんで今日、ここに羽森さんを連れてきた?」

「は?」

「羽森さん、本当は応援に来ないつもりだったって言ってた。お前が好きなようにしていいんだよって言ってくれたから、来る決心ができたって」

「そう」

「どうして」

「何がだよ」

「お前も、羽森さんのことが好きなんだろ」

「……」

「なのにどうして、俺のとこに連れてきてくれた?」


コートへ戻る間際、羽森さんは言っていた。俺の部活が落ち着くまでは会わないほうがいいんじゃないかと思っていたと。


だけど黒津が背中を押してくれたおかげで、自分の気持ちを優先することができたと。



「好きだよ」


案外あっさりと、返事は返ってきた。


「柊がいつからひなのことが好きなのかは知らねーけど、お前が好きになるずっと前から、俺はひなが好きだ。現在進行形でな」


真っ直ぐ俺に目を向けたまま、黒津はハッキリとした口調でそう告げた。


「だったらなんでこんなことしてんだよ」

「……」

「俺は今日、羽森さんに告うよ。お前はいいの」


同じようにハッキリそう言うと、黒津は目を伏せて、フッ、と乾いた笑いをこぼした。


「俺がひなに告ってたら、お前は振られてたよ」