𓂃⋆。˚ ◌𓈒𖡼
一回戦は勝ち上がったものの、二回戦で敗退。俺の、俺らの高校バスケはここで幕を閉じた。
不思議と、悔しいとか悲しいとか、負の感情が心に積もることはなくて。
自分の全力は出し尽くした。白石東のバスケをすることができた。相手が一枚上手だったわけで、試合内容になんの悔いもない。清々しい気持ちでいっぱいだった。
「柊!」
閉会式終わり、会場内を一人で歩いていると背後から名前を呼ばれた。聞き覚えのあるその声に、首だけ振り返る。
「……黒津、」
「お疲れ」
三田第一の元部長、黒津光希の姿がそこにはあった。
「まだいたんだ」
「決勝まで見てたからな」
「……羽森さんは?」
「さっきまで一緒にいたけど、近くのカフェに行った。お前のこと、そこで待ってるってよ」
黒津がそう言ってすぐ、ジャージのポケットに入れていたスマホが振動した。
【森野珈琲にいるね! 終わったら連絡まってます】
羽森さんからのメッセージに胸が鳴った。たったこれだけのメッセージで心躍らせてしまう俺は、かなりの重症だと思う。
そう、本当に重症なんだ。


