日々、アオハル


――残り15秒。リードは白石東。


相手ボールを奪い返した佐野くんが大河原くんへとパスを回し、そのボールが柊くんへと託された。


5秒、4秒――リングの正面、半円状に引かれたスリーポイントラインの外側に柊くんは立つ。


新人戦の決勝戦、白石東のラストプレーと同じ構図。


小さく呼吸を整えた後、放たれたボールは綺麗な放物線を描いてリングへと向かっていく。


シュッ、と吸い込まれるようにリングをくぐったボールが、1回、2回とバウンドしたところでブザー音が鳴り響いた。


思わず「きゃー!」と立ち上がってその場で飛び跳ねた。光希も隣で立ち上がっていて、自然な流れでハイタッチを交わす。


この大舞台で一勝をあげるということは、とてもとても難しいこと。同じ地区で切磋琢磨してきた仲間としても、白石東の勝利は心の底から嬉しい。


白石東のメンバーたちはコートの端に一列に並ぶと、観客席に向かって一礼をした。


周りが大きな歓声と温かな拍手に包まれる中、頭を上げた柊くんの瞳が真っ先に私を映した。


もしかしたら試合が始まる前から、私のいる場所に気付いてくれていたのかもしれない。迷いなく私を見つけてくれたことが嬉しくて、胸を躍らせてしまう。


口元を緩く持ち上げた柊くんは真っ直ぐに私を見つめたまま、控えめに右手でピースサインを作った。それは大勢の人がいる中で、たった一人、私にだけ向けられたもの。


拍手してた手を止めて、私も同じようにピースサインをお返しする。


自然と頬が緩むと共に、嬉し涙がじんわりと滲んだ。