「うわー、柊えぐいな」
前のめりになりながら試合を見守っている光希も、感嘆の声を上げていた。
「今のすごかったね!」
「ああ。柊が調子いいの、ひなのおかげじゃね?」
隣で光希がにやりと笑う。
ううん、それは違う。
試合に自分のピークを合わせることも、実力を発揮し切ることも、決して簡単じゃないことは素人の私でも分かる。
怪我をして思うように動けていなかった新人戦のあの日以来、柊くんは試合の度にピークを更新し続けている。常に''調子がいい''状態を保っている。それは誰のおかげでもなく、柊くんの努力が実を結んだもの。
怪我に対する恐怖や、強豪校のエースという重圧、私たちには計り知れないプレッシャーだってきっとあったはず。
もちろん生まれ持った才能もあるだろうけど、圧倒的な強さの裏側には柊くんのたくさんの努力が隠れていると思う。
試合は終盤へと進んでいき点差が徐々に開き始める。
電光掲示板の数字が減っていくにつれて、ドクドク、ドクドク、と鼓動が早くなっていく。
「(がんばれ、がんばって……!)」
胸の前で両手を組みながら、祈るように試合を見守る。


