日々、アオハル


✩࿐⋆*


来たる東北大会。2週間ほど前に訪れた会場は、県大会の時以上に独特な雰囲気に包まれていた。


余裕を持って早めに到着したはずなのに、すでに2階席には多くの観客が座っている。


各コート内では選手たちがウォーミングアップをしていて、たくさんの声とドリブル音が2階席の1番上まで聞こえてきた。


「なんか、すごい雰囲気だね。私が緊張してきちゃったよ」

「なんでひなが緊張してんだよ。この中で試合すんの、すげー楽しいだろうな」


大舞台の雰囲気に圧倒され、試合に出ないくせに胸をざわつかせている小心者の私とは違い、光希は目を輝かせながらアリーナ中を見渡していた。


「白石東の1試合目はDコートだって。Dは……サブアリーナの方だわ」


プログラムを広げたまま動き出した光希の横に並んで、Dコートを目指して歩く。


歩いている途中で、見慣れない他県のジャージやユニフォームを着た選手と多くすれ違った。皆が皆、強そうに見えてしまう。長身の選手になぜか私が萎縮してしまう。


私と光希は私服で来たけれど、応援で来ているであろう制服姿の男女も多く目にした。



「(柊くん、どこにいるのかな……)」


柊くんのことを頭に思い浮かべたちょうどその時だった。


「え」

「あ」


私と光希の声が重なった。