日々、アオハル

今日柊くんと出かけることは、お母さん以外の家族には内緒。男の子と出かけるなんて知ったら、お父さんもお兄ちゃん2人も大騒ぎで大変なことになるのは目に見えてるから。


お母さんには友達と出かけると話を合わせてもらった。


少しだけ、メイクも頑張ってみた。マスカラを塗るなんていつぶりだろう。


白のニットにチェック柄のミニスカートを履いて、モカブラウンのショート丈コートを羽織る。このコーディネートも、毎夜毎夜1人ファッションショーをしてようやく決まったもの。


最後に大きめのマフラーを巻いて、ブーツに足を入れる。全身鏡の前何度も回って最終確認をする。


玄関先でくるくると回る私の足元に近寄ってきた愛犬のあんずのから、気合いのお裾分けをしてもらった。よし!と鏡の中の自分と強い視線を交わし合う。


お母さんに最寄り駅まで送ってもらい、ホームで電車を待っていると手に持っていたスマホが揺れた。


《3号車入ってすぐの2人席に座ってるね》


先に電車に乗っている柊くんからのメッセージに自然と頬が緩む。


目的地までは電車で向かうので、柊くんとは車内で待ち合わせをしている。下り電車がくるまであと7分。ドキドキしながらホームで待つ楽しみが詰まったこの時間が、とても幸せに感じた。