すぐに私へと視線を移した大河原くんは、眉を下げながら「ごめんね、羽森さん」と謝罪の言葉を口にした。
もちろん大河原くんが謝ることではない。見上げたまま首を横に振ると、「もっと早めに出てきてればよかったね」と二度目のごめんが返ってきた。
そうして表情をすっと戻した大河原くんは、水戸さんへと顔を向け直すと、私の一歩前へ出た。
「全部聞こえてた。俺もこうやって出てきておきながら言うのもなんだけど、これは世那と羽森さんの話であって、水戸が出てくる幕じゃないでしょ」
「……」
「世那と羽森さんが2人で会おうが何しようが、2人のプライベートまで縛る権利は水戸にはないよ。アイドルでもあるまいし、自分の立場とかなんだとかは関係ないでしょ」
「私は同じマネージャーとして、おかしいと思ったから言ってるの。私は他校のマネージャーと部員がそういう仲になるのは、ありえないことだと思ってる」
「うん。水戸の考えは分かった。だったらさっきの言葉はまず、同じメンバーとして、世那にぶつけるべきだったんじゃない?」
「……」
「1000歩譲って、羽森さんに直接自分の考えを伝えるんだとしても、あの言い方はまじでない。ああやって偏った正義感を振りかざすのは違うと思うよ」


