元々水戸さんの口調は強くてハッキリしていて、声は大きくてよく通る。そのせいか、発せられた言葉たちは、より一層鋭利なものとなって私の心に刺さった。
水戸さんの言っていることが仮に納得がいかなかったことだとしても、私の性格上、彼女に同じ熱量で言い返すことはできない。
言い争いや揉め事は苦手。自分が我慢してその場が収まるのなら、余計なことは言わずに耐えるタイプだ。
私のこういうところは、長所でもあり、短所でもあると過去に光希に言われたことがある。
私が謝罪の言葉を述べれば、水戸さんの怒りは収まるのだろうか。私が柊くんとは会うことをやめれば、水戸さんは納得するのだろうか。
あれ?だけど、水戸さんに謝ってどうするの?水戸さんになにか悪いことをした?
「何か反論はあるかな?」
眉根を寄せたまま首を傾げる水戸さんからの圧に怯みながら、働かない頭で考えを張り巡らせる。
「はいはい、反論ありまくり」
水戸さんからの問いに答えたのは、私じゃない。背後から聞こえた低い声にビクっと肩が上がった。
「水戸さあ、流石にそれはないでしょ」
「大河原くん、」
「まじでない。ありえない」
固まる私の真横に並んだ大河原くんは、表情を顔にのせていなかった。試合中は別として、普段は穏やかに笑っている大河原くんを見ることが多かったから、その無表情に少しだけ怖さを感じる。


