午前10時に始まった合同の練習試合は、夕方16時前に終了した。
普段の大会であれば、ことあるごとに柊くんの姿を目で追っていたけど、今日はあまりのその姿を直視することができなかった。
三田第一のマネージャーとしてメンバーのサポートに集中することで、皆への罪悪感が少しだけ軽くなるような気がした。だけどその反面、こんな狡い考えを持つようになってしまった自分への嫌悪感が増してしまった。
他の二校にも片付けや床掃除を手伝ってもらっている間に、私たちマネージャーは備品類を片付けに入る。
後輩の亜美ちゃんに部室へ仕舞う備品類を預けて、私は余った飲み物を捨てに体育館外の水道へと向かう。
12月も中旬。体育館内は設置していたヒーターと、集まった部員たちの熱気でむし暑いくらいだったけど、一歩外へ踏み出すと鋭い冷たさが頬に張り付いた。
雪は降っていなくとも、東北の寒さは厳しい。
ウォータージャグを一旦地面に置き、ジャージの袖に両手をすっぽり隠してから、袖の上から取っ手を持ち直した。
体育館の壁沿いにある水道へと足早に向かい、ジャグの中に残っていたスポーツドリンクを排水口へと流し込む。軽く中を濯いでから、備え付けのスポンジと洗剤で手を突っ込んで洗っていく。いくら冬場とはいえ、手を抜くわけにはいかない。
冷たい水に顔を顰めながら、念入りに中を洗っている時だった。
「羽森さん」
顔を見ずとも、声だけで私の心は反応してしまう。


