あれから冬休みに入ってもなお、私と光希の間には微妙な空気が流れたままだった。
多分、これは喧嘩ではない。会話がゼロというわけではないし、ピリついているわけでもない。だけどどこか、ぎこちない雰囲気が漂っていた。
冬休み2日目。クリスマスまで残り5日となった今日は、三田第一と白石東、それともう1校、近隣の高校3校が集まっての練習試合が行われる。
試合会場がうちの体育館ということもあって、私たちの集合時間は少し早い。
「……」
「……」
4人掛けのボックス席の窓際で、向かい合う形で座っている私と光希の間に会話はない。普段は会話がなくても平気なのに、今は気まずさを感じてしまう。
足元のジャージの縦線と、外に広がる田んぼの景色を交互に見る。
ずっとこのまま、ぎこちない空気が当たり前になってしまうのは嫌だ。ジャージのズボンをギュッと握って、小さく息を吐いた。
「光希」
「ひな」
名前を呼ぶ声が重なった。「「あっ」」ともう一度声が二重になり、目を合わせたまま、くすっとお互い笑みがこぼれた。重くどんよりとしていた空気が、一気に軽くなる。
「先にどーぞ」
「ううん、光希からどうぞ」
「じゃあ遠慮なく」
そう言って表情を和らげた光希が「ごめん」と小さく頭を下げた。
「ここ数日、嫌な態度とってて悪かった。まじでガキすぎた。ごめん」
「いや、私の方こそ、ごめん」


