「ひな」
「……ごめん」
「いや、違う。責めてるとか怒ってるとかじゃなくて。何でこれをひなが持ってんのかを教えてほしいんだわ」
「……」
「柊と付き合ってんの?」
小さく首を振ると、「じゃあ何で」と返ってくる。手に持っていたマスカラを一点に見つめる。
「半年くらい前にね、1人でマックにいた時、白石東のバスケ部の人たちに声をかけられたの」
そこから柊くんと友達になったことを含め、ハチマキを交換することになった経緯を、あっちゃんとふーこに話したように光希にも説明した。
「――友達だから、交換したってこと?」
全てを聞き終わった光希は、険しい表情のまま、ハチマキを手に首を傾げている。
「ううん。……私が……、」
「ん?」
「……」
「……」
「私が、柊くんのことが、好きだから……」
「は……」
「ごめん光希。私、柊くんのことが、好きなの」
真っ直ぐ、光希の目を見てはっきりとした口調でそう告げた。私を見る光希の目はみるみるうちに見開かれていく。
ふらふら、と千鳥足で歩き出した光希は、ベッドの前まで行くと、ばたん、とそのままマットにダイブした。ハチマキを持った右手をおでこに乗せ、天を仰いでいる。


