目が会うと、ニッコリ笑顔をくれます。
ノリオくんたちが目の前に並ぶように座ると、お姫様は優しいしゃべり方で話しました。
「貴方たちが町で噂されている、恋を実らせる力を持つお人ですね」
「はい、でも、いえ」
戸惑う言葉にお姫様は首をかしげると、ノリオくんはこれまでの話をしました。
「仙人様には効果があったけど、しろ吉さんにしょう蔵さん。しで助さんやしこ平さんと、名前を言っても、通じなかったのです」
お姫様はノリオくんの言葉に、考え話しました。
「それはひょっとして、江戸っ子だからじゃないかしら?」
「江戸っ子?」
「私も遠くからお嫁に来たから知らなかったけど、江戸っ子の人は(ひ)が発音できなくて(し)と言ってしまうのですよ」
ノリオくんと妖怪たちは、お姫様が説明してもわからないようで、顔を合わせ意味を確認試合っていました。
お姫様はその光景を見て「クスッ」と笑います。
「物語の登場人物が、都合のよい名前ばかりで驚きですね。魔法を使わなくても仲良くなれるなんてうらやましい限りです」
お姫様の言葉に、ノリオくんは明るい笑顔で答えます。
「よかった」
お姫様は、それまでと違うイキイキとした発言に不思議がると、のっぺらぼうが声をかけます。
「殿様。嫌い?」
「えっ? いえ、嫌いではないですよ」
ろくろっ首も質問します。
「お姫様は、どうして元気がないでありんすか? お嫁さんになるのが嫌でありんすか? 」
「いいえ、ただ不安なのです。私たちはお互いの国が争わないため、言われるがまま結婚をしたのですが、お殿様は私のことが、好きではないのかもしれません」
結婚した理由を知り、表情を曇らせます。
「では、仲良しで結婚したわけではないのですか」
「いいのです、人々の平和のため、どうぞその剣で私に魔法をかけて下さい」
ノリオくんは、立ち上がると、力強よい声をかけます。
「わかりました。待っていてください」
ノリオくんはお殿様のところに、急いで戻り話します。
「お姫様は不安みたいです」
「不安? 何が不安なのじゃ?」
妖怪たちは、自らの頬を手で持ち上げ言葉をかけました。
「顔、顔」
「顔がどうした? 顔をどうすれば良いのじゃ」
お殿様は、動揺しながら近くの家来に聞いていました。
「はい、確かに平常心を心得ているため、普段からお気持ちが、少しおわかりづらいかと」
お殿様は初めて注意されたことに呆然となりました。そして周りを見つめると、目に留まったのがのっぺらぼうの表情でした。
お殿様は「はっ」と驚きつぶやきました。
「うむ、表情から気持ちがわからないのは奇妙かもしれんのう」
納得したお殿様に、妖怪たちはさらに話しました。
「言葉、言葉」
お殿様は近くの家来に話します。
「言葉? よは、話をしてるぞ。姫にも挨拶を交わしておる」
家来は申し訳なさそうに話します。
「はっ、しかし、姫にはまだ挨拶以外の会話、お優しい言葉をかけていないように存じます」
お殿様の目に、傘お化けの姿が止まりました。
「うむ、姫からしたら、よもあのように写っているのか」
長い沈黙の後、誰も話さないことに、お殿様は困惑しました。
「えっ、そんなんで良いのか? 表情と言葉をかわすだけで、姫はよを好いてくれるのか?」
家来は困った表情で首をかしげ、話しました。
「はっ、拙者にはわかりかねますが、世間では、そのような殿方を首を長くして待っていると聞いたことがありますが」
お殿様はろくろっ首を見て答えます。
「おおっ、そうか、首を長くして待っているのか」
そして、隣に立つお地蔵様に化けた狸を見て、手を合わしました。
ノリオくんたちが目の前に並ぶように座ると、お姫様は優しいしゃべり方で話しました。
「貴方たちが町で噂されている、恋を実らせる力を持つお人ですね」
「はい、でも、いえ」
戸惑う言葉にお姫様は首をかしげると、ノリオくんはこれまでの話をしました。
「仙人様には効果があったけど、しろ吉さんにしょう蔵さん。しで助さんやしこ平さんと、名前を言っても、通じなかったのです」
お姫様はノリオくんの言葉に、考え話しました。
「それはひょっとして、江戸っ子だからじゃないかしら?」
「江戸っ子?」
「私も遠くからお嫁に来たから知らなかったけど、江戸っ子の人は(ひ)が発音できなくて(し)と言ってしまうのですよ」
ノリオくんと妖怪たちは、お姫様が説明してもわからないようで、顔を合わせ意味を確認試合っていました。
お姫様はその光景を見て「クスッ」と笑います。
「物語の登場人物が、都合のよい名前ばかりで驚きですね。魔法を使わなくても仲良くなれるなんてうらやましい限りです」
お姫様の言葉に、ノリオくんは明るい笑顔で答えます。
「よかった」
お姫様は、それまでと違うイキイキとした発言に不思議がると、のっぺらぼうが声をかけます。
「殿様。嫌い?」
「えっ? いえ、嫌いではないですよ」
ろくろっ首も質問します。
「お姫様は、どうして元気がないでありんすか? お嫁さんになるのが嫌でありんすか? 」
「いいえ、ただ不安なのです。私たちはお互いの国が争わないため、言われるがまま結婚をしたのですが、お殿様は私のことが、好きではないのかもしれません」
結婚した理由を知り、表情を曇らせます。
「では、仲良しで結婚したわけではないのですか」
「いいのです、人々の平和のため、どうぞその剣で私に魔法をかけて下さい」
ノリオくんは、立ち上がると、力強よい声をかけます。
「わかりました。待っていてください」
ノリオくんはお殿様のところに、急いで戻り話します。
「お姫様は不安みたいです」
「不安? 何が不安なのじゃ?」
妖怪たちは、自らの頬を手で持ち上げ言葉をかけました。
「顔、顔」
「顔がどうした? 顔をどうすれば良いのじゃ」
お殿様は、動揺しながら近くの家来に聞いていました。
「はい、確かに平常心を心得ているため、普段からお気持ちが、少しおわかりづらいかと」
お殿様は初めて注意されたことに呆然となりました。そして周りを見つめると、目に留まったのがのっぺらぼうの表情でした。
お殿様は「はっ」と驚きつぶやきました。
「うむ、表情から気持ちがわからないのは奇妙かもしれんのう」
納得したお殿様に、妖怪たちはさらに話しました。
「言葉、言葉」
お殿様は近くの家来に話します。
「言葉? よは、話をしてるぞ。姫にも挨拶を交わしておる」
家来は申し訳なさそうに話します。
「はっ、しかし、姫にはまだ挨拶以外の会話、お優しい言葉をかけていないように存じます」
お殿様の目に、傘お化けの姿が止まりました。
「うむ、姫からしたら、よもあのように写っているのか」
長い沈黙の後、誰も話さないことに、お殿様は困惑しました。
「えっ、そんなんで良いのか? 表情と言葉をかわすだけで、姫はよを好いてくれるのか?」
家来は困った表情で首をかしげ、話しました。
「はっ、拙者にはわかりかねますが、世間では、そのような殿方を首を長くして待っていると聞いたことがありますが」
お殿様はろくろっ首を見て答えます。
「おおっ、そうか、首を長くして待っているのか」
そして、隣に立つお地蔵様に化けた狸を見て、手を合わしました。



