神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「私は置いてけぼり…。置いてけぼりなんだ…」

「ちょ、やめろって。違うよ」

「また、一人ぼっち…」

おい。罪悪感を煽るのやめてくれ。

「…あのな、ベリクリーデ。俺は何も、永遠にこの世から消えてなくなる訳じゃないから」

「…」

めそめそ。

「一週間。一週間経ったら帰ってくるよ、ちゃんと」

「…帰ってくるの?」

「帰ってくるよ」

「…ほんとに?どっか行っちゃったりしない?私のこと一人ぼっちにしない?」

「しないよ…」

何だって、ちょっと出張に行くだけで、まるで今生の別れのように。

「お前みたいな世話の焼けるヤツを置いていったら、逆に心配で気が気じゃねぇっての」

目ぇ離したら、すぐ何もないところですっ転んでそうなヤツなんだから。

「…ジュリス…」

「分かったか?だから、一週間良い子に待っててくれ。そしたら帰って来る。約束するよ」

「…ん」

「分かったな?」

「分かった」

よし。

ったく、俺がちょっと出張に行くってだけで、何でべそかく必要があるんだか。

「ほら、もうこんなことで泣くなよ」

俺は、ハンカチでベリクリーデの目元を拭ってやった。

「泣いてないもん」

「はいはい」

そういうことにしといてあげますよ。ったく。

…すると、それを見ていたキュレムとルイーシュは。

「…俺さぁ、ジュリスのことは仲間だと思ってるけど、こういうリア充ぶりを見せつけられた時は、バナナの皮で足滑らせて転んでしまえ、って思うね」

「同感ですね。赤甲羅に追突されてスリップすれば良いと思います」

「禿同。緑でも可」

…お前らは何を言ってんだよ。

「ちっ、行こうぜルイーシュ。じゃあなリア充共」

「末永く爆発してくださいねー」

とか言いながら、今度こそ本当に立ち去っていった。

…何で俺が爆発しなきゃならないんだよ。

ともかく。

「…良いな?ベリクリーデ、俺がいない間、大人しくしてるんだぞ。さっきの宣誓をもう一回してみろ」

「せんせい?」

「お約束だよ。俺がいない間、どうするんだっけ?」

教えただろ、さっき。

「えーっと、私は、絶対に動物を捕まえたりしません」

「そう、それから?」

「えーと…道路に飛び出したりしません」

「それで?」

「良い子に待ちます」

「よし」

なんか足りないような気もするが、泣かずに待ってるならそれで良し。

「ジュリス、帰る時、お土産買ってきてね」

「はいはい」

あのな、俺は遊びに行くんじゃないんだぞ。これも立派な仕事の一環なんだ。

…だがまぁ、ベリクリーデが良い子に留守番してるなら、ご褒美にお土産くらい買ってきても良いか。