神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

まぁ、賢明な判断だよ。

奴らが、また懲りずにシュニィに嫌がらせしないとも限らないし。

そういう奴らは、喉元を過ぎればすぐ熱さを忘れるからな。

余計なトラブルを引き起こさない為にも、今回は俺に参加を依頼したのだろう。

何でわざわざ俺に頼むのか、疑問に思っていたが…そういう事情だったのか。

了解、了解。

「…で、話を戻すとして。ベリクリーデちゃんは何やってんの?」

キュレムが、ベリクリーデを指で差した。

あー、うん。

「…単純な話だよ。俺がいない間、ベリクリーデの面倒を見る奴がいないから」

「あっ…」

「悪さをしないよう、よくよく言い含めてるんだ」

納得した、みたいな顔のキュレムとルイーシュ。

畜生。何で俺がこんな保護者みたいなことを。

だって、仕方ないじゃないか。

国際的な公式の会議の場に、ベリクリーデを連れて行く訳にはいかないし。

さっきのシュニィの話を聞いたら、余計に女性であるベリクリーデは連れていけない。

ここに置いていくしかない。

で、俺がいない間に、こいつがまた何かやらかさないか。

それが心配で、俺は安心して国外に行けない。

「キュレム、ルイーシュ。お前ら、ベリクリーデの面倒を見る気は、」

「さーて、それじゃシュニィんとこに、任務の報告しに行くかー」

「そうですね。じゃ」

あ、おい。

厄介事を頼まれたら大変とばかりに、そそくさと去る同僚二人。

あいつら、薄情者め。

「…ベリクリーデ…」

「ほぇ?」

俺の頭を悩ませる原因の張本人は、この通り、自分が何を心配されてるのか分かってない顔だし。

「…良いか、頼むから大人しくしててくれよ」

「私、いつも大人しいよ?」

何処が?

「何で、突然そんなこと言うの?」

「だから…俺、今度一週間くらい、ルーデュニア聖王国を留守にするからだよ」

「!!」

それを聞いた瞬間、ベリクリーデは。

突然、雷に打たれたみたいにびくっ、とした。

お、おぉ?どうした?

「な…何だよ?」

「…ジュリス、どこ行くの?」

えっ?

「何処って…だから、外国…」

「…何で?…もう嫌になっちゃったの?私の傍に居るの、嫌になっちゃったの…?」

「えぇ?いや、何でそうなるんだよ?」

つーかベリクリーデ、何で涙目なんだよ?

「あーあ、またジュリスがベリクリーデちゃんを泣かしてる」

「最低ですね」

こちらをチラ見する、キュレムとルイーシュ。

お前ら、去ったと思ったら、何で戻ってきて、しかもわざわざ嫌味まで言っていくんだよ。

そ、それよりベリクリーデを宥めなくては。