神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ーーーーー…そいつは、ある日突然、俺達の前に現れた。







「…よし、それじゃベリクリーデ。さっき言ったことを復唱してみろ」

「ふくしょう?」

「もういっぺん言ってみ、ってことだ」

「うん、分かった」

ベリクリーデは、ひょいっ、と右手を上げた。

「私は、勝手に動物を捕まえたりしません」

「次」

「私は、勝手に地面に穴を開けたりしません」

「よし、次」

「私は、勝手に男性隊舎に忍び込んだりしません」

「その通り。次」

「私は…。…んーと、何だっけ」

「横断歩道」

「そうだった。横断歩道を渡る時は、右と左を見て、手を上げて渡ります」

「よろしい。次」

「私は、知らない人についていきません」

「当然だ。次」

「私は、ジュリス・レティーナが戻ってくるまで大人しく、良い子にしてます」

「…よろしい」

…という、俺とベリクリーデのやり取りを。

「…何やってんだろ、こいつら」

「小学生の選手宣誓みたいですね」

通りすがりのキュレムとルイーシュが、ドン引きの表情で見ていた。

おい、やめろ。違うんだよ。

俺だって、我ながら奇妙なことをやっている自覚はある。

しかし、この暴走機関車ベリクリーデを大人しくさせる為には、こうでもするしかないんだよ。