神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「鬼を倒してもなお、イヌサルキジ猫は、しきりに口をパクパクさせて、瞬きを繰り返していたんだって。

『はぁ…【きび団子】…【きび団子】をくれ…あ、あれがないと、ボ、ボボボクハ』

そんなイヌサルキジ猫を、カブ太郎はつまらなさそうに見て。

それから、鬼の血でべったり濡れた鎌を弄びながら、こう呟いたんだ

『あーあ、また何処かに鬼がいないかな』

…って。

…めでたし、めでたし」

最後に、そう呟くなり。

プツッ、と糸が切れるように、ろうそくの火が全部消えた。

…めでたしじゃねーよ。

次にパチッ、と電灯が戻った時、舞台の上には何もなくなっていた。

令月も、座布団も、ナジュが流したはずの血も、綺麗に何もなくなっていた。

しかし、会場に残った深い絶望は、決して消すことは出来ない。

そこは、阿鼻叫喚だった。

子供達は泣き叫び、大人でもガクガクと震え、シルナはビビり散らして俺にしがみつき。

天音は、

「あ、あぁ…ナジュ君…。大丈夫かなー、あぁ〜もー…」

おろおろと、怪我をしたであろうナジュのことを心配していた。

すぐりのヤツ、容赦なくぶっ刺しやがったからな。

無事だと良いんだが…。

…まぁ、この会場は、全然無事じゃないけどな。