そして、部屋の中が真っ暗になったかと思うと。
パッ、と壇上だけが明るくなった。
壇上には、ぼっ、ぼっ…と順番にろうそくが点火した。
壇上には、鮮やかな装飾も、立派な小道具もなかった。
ただ、一枚の古ぼけた座布団が敷いてあって、そこに、令月が正座していた。
令月の周囲を取り囲むように、ろうそくが炎を揺らめかせていた。
驚いたのは、令月の格好。
学校の制服じゃなくて、仕事の時に着る黒装束を着ていた。
薄ぼんやりとしたろうそくの灯りの中に、妙に様になった令月の黒装束…。
令月が元々持つ、冷たく悲壮な雰囲気と相まって、その姿だけで酷く不気味に見える。
そのまま令月は、落語みたいに、正座したままゆっくりとお辞儀をした。
そして、静かに口を開いた。
「よってらっしゃい、見てらっしゃい。『カブ太郎』が始まるよ…」
まるで紙芝居の始まりのような挨拶だったが。
とても、陽気な紙芝居の挨拶には見えない。
令月の声は、大きくも小さくもなく、そして抑揚もなく、何処までも無機質な声だった。
俺は、思わずごくり、と生唾を飲み込んでしまった。
多分、この会場にいる全員がそうだったと思う。
「これは…昔々、のお話だったんだ」
と、令月は話し始めた。
パッ、と壇上だけが明るくなった。
壇上には、ぼっ、ぼっ…と順番にろうそくが点火した。
壇上には、鮮やかな装飾も、立派な小道具もなかった。
ただ、一枚の古ぼけた座布団が敷いてあって、そこに、令月が正座していた。
令月の周囲を取り囲むように、ろうそくが炎を揺らめかせていた。
驚いたのは、令月の格好。
学校の制服じゃなくて、仕事の時に着る黒装束を着ていた。
薄ぼんやりとしたろうそくの灯りの中に、妙に様になった令月の黒装束…。
令月が元々持つ、冷たく悲壮な雰囲気と相まって、その姿だけで酷く不気味に見える。
そのまま令月は、落語みたいに、正座したままゆっくりとお辞儀をした。
そして、静かに口を開いた。
「よってらっしゃい、見てらっしゃい。『カブ太郎』が始まるよ…」
まるで紙芝居の始まりのような挨拶だったが。
とても、陽気な紙芝居の挨拶には見えない。
令月の声は、大きくも小さくもなく、そして抑揚もなく、何処までも無機質な声だった。
俺は、思わずごくり、と生唾を飲み込んでしまった。
多分、この会場にいる全員がそうだったと思う。
「これは…昔々、のお話だったんだ」
と、令月は話し始めた。


