神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…翌日。

絡まっていた糸がほどけるように、俺は「真相」を知った。





まず、俺はホームセンターに行って、猫除けのトゲトゲネットを購入。

大家に頼んで、アパートの屋上に設置させてもらった。

大家としても、この近辺に猫が集まることを鬱陶しく思っていたらしく、反対はしなかった。

これにより、その日の夜から、ミシミシという物音…。

…つーか、猫の足音は聞こえなくなった。

その夜も、窓から外を見ると、空き地に数匹の猫が集まっていた。

やっぱり、あそこが猫の集会所なんだな。

更に俺は、ホームセンターで別のものも購入した。

交換用の水道のパッキンである。

俺はシンクの水漏れが、心霊現象の一つだと思い込んでいた。

しかし、そうではなかった。

水道のパッキンを自分で交換すると、その時から、水漏れはピタッと止まった。

…もっと早く気づくべきだった。

普通、蛇口から水が漏れていたら、考えるべきは蛇口のパッキンの劣化だ。

この部屋は事故物件だという先入観があったことから、いかなる出来事も幽霊の仕業、と考えてしまっていたのだ。

ふざけんなよ。マジで。

騙されていた自分が恥ずかしい。

…え?

じゃあ、押し入れの中の御札は何だったんだ、って?

…あれはな、後で聞いたんだけど。

どうも前の住人が、例の猫の足音を心霊現象だと勘違いしていて。

家の中の至る所に、ベタベタと御札を貼り付けたんだって。

で、退去する時に、前住人の親御さんが、御札を剥がしたそうなんだが。

押し入れの中の御札に関しては、場所が場所だけに、剥がし忘れて退去してしまったのだろう。

前の住人に教えてあげたい。

あんたさんがビビってたそれ、ただの猫ですよ、って。

猫除けトゲトゲネットを貼ったら、静かになりましたよ。

…あ、花束とお菓子とお線香は、勿体なかったから、例の空き地…猫の集会所…に、供えておいた。

…というのが、今回の事件の顛末である。

なんか無駄に疲れたような気がするんだけど。俺だけですかね?