神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

司書さん達に任せっきりにせず、俺達も何年も前の新聞などを片っ端から読み漁り。

放火、そして心中事件に関する記述がないかどうかを調べた。

…まぁ、ベリクリーデは途中で疲れたらしく。

テーブルに突っ伏すようにして、いつの間にかぐーすか寝入っていた。

もう良い。こいつは好きにさせとけ。

うろちょろされるよりマシ。

しばらくそうやって、時間が過ぎるのを忘れて新聞を調べ続け。

閉館時間30分前になった頃、さっきの司書さんが声をかけていた。

「あのー、すみません」

「あ、はい。何ですか?」

「ちょっと、こちらで調べてみて…。心中事件、または放火事件について記述があった昔の新聞記事を、いくつか見つけました」

「…!本当ですか」

有能だぞ、ここの司書さん。

地方の図書館万歳。

「こちらなんですけど…」

「ありがとうございます」

とても有り難いのだが。

今からこれをじっくりと読んでいたら、あっという間に閉館時間になってしまう。

「あの…大変厚かましいお願いなんですけど、これ、コピーしてもらえませんか…?」

「あぁ、はい。お安い御用です」

「ありがとうございます。…本当にありがとうございます」

これで少し、また調査が進みそうだ。

コピーしてもらった新聞記事を手に、

「ほら、ベリクリーデ。起きろ」

「ふにゃあ〜…。…むにゃむにゃ…」

「おい。本、借りたいんじゃなかったのか?」

「…ほぁっ」

起きた。

「ったく…まずは涎を拭きなさい」

「あむあむ…」

だらしなく口の端から涎を垂らすベリクリーデを、俺はハンカチで拭いてやった。

世話が焼けると言ったら。

「ほら、好きな本借りておいで」

「うん、分かったー」

「言っておくが、『猿でも分かる!』シリーズはやめろよ」

「えー」

不平不満を漏らすんじゃない。

早く行ってきなさい。

10分ほどかけて、ベリクリーデが選んできたのは、絵本3冊。

「これにするー」

「おぉ、そうか…。って、怖っ…!」

『ねないの だあれ』、『いるよ いないよ』、『おしいれとぼうけん』の3冊。

トラウマ絵本3選じゃねーか。やめろって。

それらの絵本を、これから事故物件に帰って読むんだろ?

余計にやめろ。

…しかし。

「面白そうでしょ?」

目をキラキラさせるベリクリーデ。

…良いよ。分かったよ。

ベリクリーデが選んできたんだから、好きな本を読めば良い。

夜中、昨夜より恐ろしいものが出てきても、俺は責任取れないからな。