神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ズルいだろ。いやズルいだろ。

絶対俺が正しいはずなのに。何で俺がベリクリーデをいじめたみたいになってんの?

…しかも、悪いことに。

「うわっ、見ろよルイーシュ。ジュリスがベリクリーデをいじめてるぞ」

「本当だ。女性を泣かせるとは最低ですね」

「お、お前ら…!」

任務帰りで通りすがりの同僚、キュレムとルイーシュが。

この現場を見て、ひそひそとこちらを指差していた。

いや違うんだってこれは。

俺がベリクリーデをいじめてるんじゃなくて。ベリクリーデがすずめをいじめてたんだよ。

しかし、俺の弁明は華麗にスルーされれた。

「…しょぼーん…」

「…分かったよ…」

俺が悪うございました。

「…改めて、スーパーに鶏肉、買いに行くか。で、一緒に焼き鳥作って、皆に振る舞おう」

「…!」

もうそれしかないだろ。ベリクリーデのフォローをするには。

案の定、ベリクリーデははっ、として顔を上げた。

「ほら、一緒にスーパー行くぞ」

「…うん…!」

こういうことするから、俺はお人好しだって言われるんだろうな。







で、その後スーパーに買い物に行くと。

「鶏ももと白ネギ…。セセリに、鶏皮…。おっ、砂肝もあるじゃないか。これを買って…」

「ねぇねぇジュリス、お菓子買ってもいーい?」

おい。焼き鳥の材料買いに来たんだぞ。

ま、良いか。お菓子くらい可愛いもんだ。

「一個だけだぞ」

「はーい」

と言ってベリクリーデは、チョコウエハースのおまけ付きお菓子を、買い物かごに放り込んだ。

このおまけ付きお菓子が、次なる騒動の発端となることを、俺はまだ知らない。