いずれ、「その時」は来ると思っていた。
ベルーシャは、生贄に捧げられる為に、ここにやって来た。
だけど…「その時」が明日だということは、誰も知らなかった。
「…そうか…。…明日…」
つまりベルーシャは、明日死ぬ。
明日…世界の為に生贄に捧げられて、死ぬのだ。
…ベルーシャが…。
「クロティルダ…あなた…」
「…」
「…まさか、生贄に同情しているんじゃないでしょうね?」
ケルディーサは、疑わしげにそう聞いてきた。
「随分親密にしていたから、もしかしてと思ったけど…」
「…別に同情などしていない」
俺は、ベルーシャが他人に同情されることを何より嫌っていることを知っている。
だから同情などしない。…そんな権利さえ、俺にはない。
「罪を犯した人間に、天使であるあなたが同情しては駄目よ」
「同情などしていないと言っただろう。…それに、彼女が罪を犯した訳じゃない」
「同じことよ。彼女だって人間なんだから」
ベルーシャと同じことを言うんだな。
「彼女は生贄よ。罪を犯した人間の代表として、命をもって償うの。穢らわしい存在だわ」
「…彼女は穢らわしくなどない」
「充分穢らわしいわ。これから、人間の罪の全てを背負うのだから」
「…」
ケルディーサは、心から軽蔑したようにそう言った。
「良い?同情しては駄目。優しくしては駄目よ。自分の役目を忘れないで」
「…余計なお世話だ。もう行ってくれ」
用件は伝えたのだろう。なら、さっさと出ていってくれ。
これ以上聞いていたくない。
「クロティルダ…!お願いだから、姉さんの言うことを…」
「帰ってくれ」
「…」
ケルディーサはぎゅっと唇を噛み締め、俺を見つめたが。
「…分かったわ」
溜め息をついて、くるりと踵を返した。
「いずれにしても、あの子は明日死ぬ。…それで全て終わりよ」
「…」
…終わり…全て。
ケルディーサのその言葉が、俺の心にナイフを突き立てた。
…そう。明日で終わりなのだ。
ベルーシャの命…いや。
俺と、ベルーシャが積み上げてきたもの、その全てが。
ベルーシャは、生贄に捧げられる為に、ここにやって来た。
だけど…「その時」が明日だということは、誰も知らなかった。
「…そうか…。…明日…」
つまりベルーシャは、明日死ぬ。
明日…世界の為に生贄に捧げられて、死ぬのだ。
…ベルーシャが…。
「クロティルダ…あなた…」
「…」
「…まさか、生贄に同情しているんじゃないでしょうね?」
ケルディーサは、疑わしげにそう聞いてきた。
「随分親密にしていたから、もしかしてと思ったけど…」
「…別に同情などしていない」
俺は、ベルーシャが他人に同情されることを何より嫌っていることを知っている。
だから同情などしない。…そんな権利さえ、俺にはない。
「罪を犯した人間に、天使であるあなたが同情しては駄目よ」
「同情などしていないと言っただろう。…それに、彼女が罪を犯した訳じゃない」
「同じことよ。彼女だって人間なんだから」
ベルーシャと同じことを言うんだな。
「彼女は生贄よ。罪を犯した人間の代表として、命をもって償うの。穢らわしい存在だわ」
「…彼女は穢らわしくなどない」
「充分穢らわしいわ。これから、人間の罪の全てを背負うのだから」
「…」
ケルディーサは、心から軽蔑したようにそう言った。
「良い?同情しては駄目。優しくしては駄目よ。自分の役目を忘れないで」
「…余計なお世話だ。もう行ってくれ」
用件は伝えたのだろう。なら、さっさと出ていってくれ。
これ以上聞いていたくない。
「クロティルダ…!お願いだから、姉さんの言うことを…」
「帰ってくれ」
「…」
ケルディーサはぎゅっと唇を噛み締め、俺を見つめたが。
「…分かったわ」
溜め息をついて、くるりと踵を返した。
「いずれにしても、あの子は明日死ぬ。…それで全て終わりよ」
「…」
…終わり…全て。
ケルディーサのその言葉が、俺の心にナイフを突き立てた。
…そう。明日で終わりなのだ。
ベルーシャの命…いや。
俺と、ベルーシャが積み上げてきたもの、その全てが。


