神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「こんなところに…島があるなんて…」

まるで何かを隠そうとするように、幻覚魔法でカモフラージュまでして。

いや、「まるで」じゃなくて、隠してるのだ。実際。

その為に、幻覚魔法までかけているのだ。

「あそこ…。建物がある」

私は、島の中央を指差した。

それほど大きな島ではないが、島の中心部に、学校の校舎みたいな建物がある。

こんなところに、学校があるはずがないし…。

「あぁ。…あの場所が、人間の罪そのものだ」

と、クロティルダ。

「…人間は、あの場所で一体何をしてるの?」

「お前の父母がやっていたのと同じことだ」

私の両親…。

…つまり、新時代の神様、とやらの研究?

「ここでも…神様の研究、してるの?」

「あぁ。そのようだ」

…そうだったんだ。

私はずっとあの家で暮らしてたのに、お父さんとお母さんが何を研究しているのか知らなかった。

二人の研究が、どういうモノなのか。

こんな風に、絶海の孤島で隠れるようにして研究されていたモノ、だってこと。

新時代の神様の研究というのが、何なのか。

…多分、お父さんとお母さんも知らなかったんだろう。

それが、禁忌に触れる研究であると。

この島の中の研究所にも、私が自宅で見た…瓶詰めの「神様」がいるのだろうか。

この島では、もっと研究が進んでいるのだろうか。

瓶詰めの「神様」は、もっと進化して…いつか、本物の「神様」になるんだろうか。

その神様は…クロティルダの知る旧世代の神様とは、別のものなのだろうか。

「クロティルダ…」

「何だ」

「神様の研究って、何なの?」

両親が死んで、この世にいなくなって。

私は初めて、両親が研究していたことが何だったのか、知りたいと思った。

私自身が…一体、何の為に生贄に捧げられようとしているのかも。

「…知りたいか」

「うん…。…知りたい」

「ならば話そう。お前には、知る権利がある」

ありがとう。

クロティルダは、私に話してくれた。

人間の罪の歴史。滅びゆく人間の未来を。