神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

この時私が抱いた正直な感想は。

「…ごめん。よく分からない」

これだけだった。

私より遥かに頭の良いお父さんとお母さんや、二人が勤めている研究所の研究員達が、一生懸命研究しているのだから。

きっと、凄く大変で、凄く偉大な研究なんだと思う。

でも、私にはピンと来なかった。

お父さんはそんな私を馬鹿にすることはなく、むしろ、また軽快にけらけらと笑った。

「そうか。まだベルーシャには難しかったかな」

「…その研究、成功しそうなの?」

「そうだな…。あと何十年…ベルーシャが大人になる頃には、完成させたいところだが。どうだろうな」

そっか…。

じゃあ私が大人になった時、世界には新しい神様が生まれているかもしれないね。

…全然想像出来ないけど。

そうなった時、新しい神様は私になんて言うだろう。

Dランクのお前に価値はない、とか言うんだろうか。

…そんな神様は、嫌だな…。

…すると。

「…で、ベルーシャはどうしたんだ?」

「えっ?」

「何か話したいことがあったから来たんだろう?」

…そうだった。

私が研究の話をしてしまったから、つい本題を忘れてしまっていたけれど。

私…お父さんに相談しようと思ってることがあったんだった。

「あの…私…」

「…学校のことか?」

いきなり核心を突いた質問をされて、ドキッとした。

さっきまで軽快に笑っていたお父さんは、途端に難しい顔になった。

「上手く行ってないんだろう?…魔導学校で…」

「…それは…。…うん」

そんなことないよ、と言いたいところだったけど。

実際上手く行ってないから。否定することも出来ない。

「まぁ…それはそうだろうな。レベルが合わないんだもんな…」

「…お父さん、知ってたの?」

「お前の様子を見れば分かるよ。…どんどん元気がなくなっていくから」

そっか。

出来るだけ頑張ろうと思ってたけど、やっぱりお父さんにはバレてたんだね。

「どうにかしてやりたいが…。如何せん、学校側も前例のないことだって言うし…。母さんは、このままSランクの学校に通って欲しいと言ってるからな」

「…うん…」

「父さんも母さんも魔導適性はAランクだったから、お前の学校のことはよく分からないし…。…どうアドバイスしてやれば良いのか」

…そうだよね。分からないよね。

妹だって、通ってるのはAランクの魔導学校だし…。

お腹の子はSランク適性だそうだから、将来的には、私と同じ学校に入学するんだろうね。

だけど、それはまだ何年も先のことだ。

まだ生まれてもないんだから。

それに…私みたいな例もある。

お腹にいる時はSランクでも、いざ学校に入学してみると、本当はDランクだった、ってことが…。

「でも…お前がそこまで思い詰めてるなら、これからのことをちゃんと考えないとな…」

「…お母さんは、反対するだろうね」

それに、お父さんだって。

本当は、私にこのまま頑張って欲しいと思ってるんでしょ。

親なら誰だって、そう思うはずだ。

しかし、お父さんは。

「そうだな。でも、一番大切なのは、お前が毎日、楽しく学校に通うことだから」

「…お父さん…」

「お前にとって一番良い選択肢を考えるよ。それが親の義務ってもんだろ」

…ありがとう。