神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

心が痛かった。本当に…苦痛だった。

自分の…本来あったはずの力が失われ、他人に気を遣われ、蔑まれながら生きて。

自分という存在に、果たして何らかの価値があるのかどうかも分からなくて。

このままでは不安だった。その不安は、日を追うに連れてどんどん大きくなっていった。

私の目指す先場所は、一体何処なのか。

その答えを、絶えず求め続けていた。

お母さんには相談出来なかった。ただでさえ…お母さんは、今はお腹の子にかかりきりだったから。

それに、こんなことを相談しても…お母さんがなんと答えるかは、大体分かっていた。

多分、理解してもらえないだろうってことも。

だから私は…お父さんに相談することにした。






…とある日の深夜。

私は、お父さんの書斎…兼、研究室を訪ねた。

ここは仕事の部屋だから入ってはいけない、と昔から言われていた。

だけど、ここ最近お父さんは、出産休暇を取っているお母さんの分も。

ずっとこの研究室にこもって、魔法の研究を続けていた。

だから、お父さんと話そうと思ったら、この部屋に来るしかなかった。

私は、研究室の扉をノックした。

「お父さん…。お父さん、いる?」

声をかけて、しばらくすると。

「…ベルーシャ?どうしたんだ?こんな時間に」

白い研究衣に身を包んだお父さんが、驚いた顔で扉を開けた。

「あの…。ごめんなさい、お仕事中に…」

「いや…そろそろ休もうと思ってたから、別に良いが…。…それより、どうしたんだ?」

「…」

私は迷った。

相談しよう、苦しいこの気持ちを訴えようと、覚悟して来たはずなのに。

いざお父さんを目の前にすると、上手く言葉に出来るか、自信がなかった。

「…」

そんな私を、お父さんはじっと見つめ。

それから。

「…よし、ベルーシャ。こっちにおいで」

と言って、私を研究室の中に招いた。

「え?お父さん…でも」

この部屋には入っちゃいけないって、そう…。

「良いから。その代わり、資料には触らないでくれ。この部屋にある研究資料は、どれも大切なものだから」

「あ、うん…」

部屋にあるものを触りさえしなければ、入っても良いらしい。

…それじゃ、お言葉に甘えて…お邪魔します。