神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

私が一番…よく分かってるよ。あなたに言われなくても。

言いたいだけ言って、男子生徒は不機嫌そうに、足音を鳴らして立ち去った。

そのやり取りを見ていた、他のクラスメイト達が慌てて私のもとに駆け寄ってきた。

「ベルルシアちゃん、大丈夫?」

「酷いよね。あんな言い方しなくても良いのに」

「そうだよ、気にすることないよ」

…ありがとう。

私をもっと深く傷つけているのは、あなた達だけどね。

「…良いの。私が…本当は不合格なのは、分かってるから」

「それは…。…でも、ちゃんと宿題やってるんだから、それで良いじゃん」

何が良いの?

あなた達だって、自分が不合格だったら、悔しがるでしょうに。

特別扱いされている私のことを、忌まわしく思うでしょうに。

「ベルルシアちゃんはDランクなのに、毎日頑張って宿題をやってるんだから」

「そうそう。それだけで充分凄いことだよ」

そう言って、彼らは私を励ましてくれようとしていたが。

残念ながらそれらは、全部、私にとっては逆効果だった。

…もう良い。

もう良いよ。やめて。

「だから気にしないで。ね、ベルルシアちゃん」

「…みんな、ありがとう」

これ以上、聞きたくなくて。

これ以上ここにいたくなくて、私は無理矢理笑顔を浮かべて、この場を切り抜けることにした。

「大丈夫、私は気にしてないから。…本当にありがとう」

「良いんだよ、そんなの。当然のことだよ」

そうだよね、当然のこと。

Sランクのあなた達が、Dランクの私を気遣うのは、当然のことだから。

何も感謝する必要はないよね。

「それじゃ、私…今日はもう、帰るね」

「あ、うん…ばいばい」

「また明日ね」

私は、足元に落ちたノートを拾って、カバンに入れ。

足早に、教室から出ていった。

思いっきり泣きたい気分だけど…でも、泣くことは出来なかった。