私は酷く困惑していた。
先生、私を呼ぶのを忘れてないか?
それとも、私が不合格なのは最早言うまでもないから、敢えて呼ばなかったのだろうか。
言われなくても分かってるよな、という無言の圧力…?
内心、首を傾げていると。
「先生。アンジュリカさんが呼ばれていません」
今朝、喧嘩をしたあの男子生徒が。
その場に立って挙手をして、私を名指しにした。
不平等なことや、曲がったことが大嫌いな彼のこと。
例え、私が不合格なのは言うまでもないにしても、ちゃんと名前を呼べ、と訴えたかったのだろう。
「彼女も不合格なんじゃありませんか」
「いいえ、ベルルシア・アンジュリカさんは、今日は不合格者ではありません」
…え?
これには男子生徒のみならず、他のクラスメイトも。
そして、誰よりも私が驚いていた。
…どういうこと?
「先程名前を呼び上げた通りです。それでは、今日のホームルームは終わります」
「あっ…先生…」
もうこの話は終わり、とばかりに。
先生はさっさと、名簿を持って教卓を離れてしまった。
…どういうこと?
「凄いね、ベルルシアちゃん。今日は合格だって」
先生が去るなり、前の席に座っている女子生徒が興奮して、私に声をかけてきた。
いや…そんなはず…。
「…どういうことだ?ちょっと、見せろよ」
「あっ…」
先程、私の名前が呼ばれないことに疑義を呈した男子生徒は、私の宿題のノートを取り上げた。
そして、パラパラとそれを開いた。
私も、ノートに釘付けだった。
…私の宿題のノートは、他の生徒のノートのように、採点されていなかった。
ただ、私の解答の上に、赤いペンで大きな花丸が描かれていた。それだけだった。
まるで、お前の解答は採点するまでもない、と言わんばかりに。
ちゃんと宿題をやってきたのだから、それだけで今日は、合格ってことにしてあげる、と…。
「…」
打ちのめされて、その場に崩れ落ちそうになるのを必死に堪えなければならなかった。
つまり、私は…また同情されたのだ。
…これなら、全問不正解でペケ印をつけられる方が、まだマシだった。
「…何だよ、これ」
男子生徒は、吐き捨てるようにそう言って。
私のノートを、投げて寄越した。
バサッ、とノートが私の足元に落ちた。
「ちゃんと宿題やって偉いでちゅね、ってか。それだけで合格にしてもらえるんだから、Dランクはお気楽で良いな」
「ちょっと…!そんな言い方ないでしょ」
またしても、言い争いが勃発。
もうやめて。
お願いだから…もう、やめて。
これ以上、私を惨めな思いにさせないで。
「真面目に宿題をやってきて、それで不合格になるなら、それは恥ずかしいことでも何でもない。でもな、お前みたいに他人に宿題を写させてもらって、特別扱いしてもらって、それで合格になったって、何も偉いことなんかない」
「…」
「むしろ、そんなのは卑怯者のやることだ。…お前はこの学校の恥晒しだ」
…。
…知ってる。
「ちょっと!もうやめなよ!」
「黙れ。お前みたいなのが甘やかすから、つけあがるんだよ。…Dランク風情が」
私は何も言い返さなかった。
言い返す言葉なんて、何もなかった。
何もかも、彼が言っているのは本当のことなんだから。
先生、私を呼ぶのを忘れてないか?
それとも、私が不合格なのは最早言うまでもないから、敢えて呼ばなかったのだろうか。
言われなくても分かってるよな、という無言の圧力…?
内心、首を傾げていると。
「先生。アンジュリカさんが呼ばれていません」
今朝、喧嘩をしたあの男子生徒が。
その場に立って挙手をして、私を名指しにした。
不平等なことや、曲がったことが大嫌いな彼のこと。
例え、私が不合格なのは言うまでもないにしても、ちゃんと名前を呼べ、と訴えたかったのだろう。
「彼女も不合格なんじゃありませんか」
「いいえ、ベルルシア・アンジュリカさんは、今日は不合格者ではありません」
…え?
これには男子生徒のみならず、他のクラスメイトも。
そして、誰よりも私が驚いていた。
…どういうこと?
「先程名前を呼び上げた通りです。それでは、今日のホームルームは終わります」
「あっ…先生…」
もうこの話は終わり、とばかりに。
先生はさっさと、名簿を持って教卓を離れてしまった。
…どういうこと?
「凄いね、ベルルシアちゃん。今日は合格だって」
先生が去るなり、前の席に座っている女子生徒が興奮して、私に声をかけてきた。
いや…そんなはず…。
「…どういうことだ?ちょっと、見せろよ」
「あっ…」
先程、私の名前が呼ばれないことに疑義を呈した男子生徒は、私の宿題のノートを取り上げた。
そして、パラパラとそれを開いた。
私も、ノートに釘付けだった。
…私の宿題のノートは、他の生徒のノートのように、採点されていなかった。
ただ、私の解答の上に、赤いペンで大きな花丸が描かれていた。それだけだった。
まるで、お前の解答は採点するまでもない、と言わんばかりに。
ちゃんと宿題をやってきたのだから、それだけで今日は、合格ってことにしてあげる、と…。
「…」
打ちのめされて、その場に崩れ落ちそうになるのを必死に堪えなければならなかった。
つまり、私は…また同情されたのだ。
…これなら、全問不正解でペケ印をつけられる方が、まだマシだった。
「…何だよ、これ」
男子生徒は、吐き捨てるようにそう言って。
私のノートを、投げて寄越した。
バサッ、とノートが私の足元に落ちた。
「ちゃんと宿題やって偉いでちゅね、ってか。それだけで合格にしてもらえるんだから、Dランクはお気楽で良いな」
「ちょっと…!そんな言い方ないでしょ」
またしても、言い争いが勃発。
もうやめて。
お願いだから…もう、やめて。
これ以上、私を惨めな思いにさせないで。
「真面目に宿題をやってきて、それで不合格になるなら、それは恥ずかしいことでも何でもない。でもな、お前みたいに他人に宿題を写させてもらって、特別扱いしてもらって、それで合格になったって、何も偉いことなんかない」
「…」
「むしろ、そんなのは卑怯者のやることだ。…お前はこの学校の恥晒しだ」
…。
…知ってる。
「ちょっと!もうやめなよ!」
「黙れ。お前みたいなのが甘やかすから、つけあがるんだよ。…Dランク風情が」
私は何も言い返さなかった。
言い返す言葉なんて、何もなかった。
何もかも、彼が言っているのは本当のことなんだから。


