神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…いつの間にか、俺もベリクリーデも、眠りに落ちていた。

そんな俺が目を覚ましたのは、不意に、異音を聞き留めたからである。

「…ん…」

不審な音が聞こえたような気がして、俺は目を覚ました。

時間は、既に真夜中。

部屋の中は暗く、隣の布団で横になっているベリクリーデは、すやすや寝息を立てていた。

…なんか、今変な音しなかった?

気の所為か…?

俺は上半身を起こし、周囲を見渡した。

…おかしなところは何もない。

「…」

…やっぱり気の所為か。

それとも、隣のユアチューバーが配信で騒いでんのか?

再び布団に横になり、目を閉じようとした、

…しかし。

何処からか、…ミシッ、ミシッ…という音が聞こえてきた。

俺は、再び飛び起きた。

…やっぱり聞こえる。気の所為じゃない。

まさか、ベリクリーデの盛り塩…ならぬ、盛り砂糖が効いたのか?

「…おい、ベリクリーデ」

俺は、横に寝ているベリクリーデを揺り起こそうとした。

「起きろ。いよいよ出たかもしれないぞ」

「ぐー…。すぴー…」

「おい、起きろって…!」

「…むにゃむにゃ〜…」

…駄目だ。全然起きる様子がない。

物音がしようが幽霊が出ようが、ベリクリーデには全く関係ないらしい。

毛布を放り出して、枕も部屋の隅にすっ飛ばして、涎を垂らしながら寝ている。

…この寝相の悪さよ。

しかも、パジャマから腹が出てるし…。

「…ったく、風邪引くぞ。この馬鹿…」

腹をしまい、身体に毛布をかけ直し。

枕を頭の下に入れてから、俺は大きな溜め息をついた。

もう良い。ベリクリーデはほっとけ。

自分一人で調査する。

俺は普段から起き上がり、周囲を見渡した。

…どうだ?怪しい人影とか…。

俺はまず、バスルームに向かった。

幽霊が出てくるところって、大抵は水場と決まってるだろう?

シャワーカーテンを開くと、髪の長い女が立っていて…なんて、ありがちなシチュエーションを想像し。

恐ろしさ半分、うんざりした気分半分で、そっとバスルームの扉を開く。

…しかし。

「…」

…何もいない。

ホッとすると同時に、ちょっと落胆した。

もういっそ、はっきり姿を見せてくれた方がすっきりするんだが?

バスルームの次は…じゃあ、押し入れか?

御札貼ってあったよな?押し入れ…。

俺はベリクリーデが眠るリビングに戻り、慎重に、押し入れを開ける。

そこには、蹲って泣いている小さな子供が…。

…いませんでした。

いねーのかよ。と、落胆。

じゃあ、結局今の物音はなん、

「…!」

…また聞こえた。

ミシッ、ミシッ、と…。誰かの、重い足音のようなものが。