神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

4年前、1歳の時の診断ではSランク判定だったのに、どうして今はDランクにまで落ちぶれてしまったのか。

その理由は、私には分からない。病院の先生にも分からないそうだ。

出生前の診断では、まだ確定出来ないから。

出生前と出生後で、ランクが変わることは時々ある。

だけど、1歳の時点で受けた診断が、数年後に変わる…なんて例は、初めてだったそうだ。

念の為にもう一回診断したけれど、やっぱり私はDランクだった。

何度検査しても、私はDランクなのだ。

もしかして病院に何か不手際があったのだろうかと、別の、もっと大きな病院で再度、検査をした。

それでも…やっぱり、私の診断は変わらず、Dランクだった。

理由は分からないけど、出生前と1歳時での適性診断は、何かの間違いだった、ということにするしかなかった。

一般的に魔導適性の有無は遺伝による影響が大きい、とされる。

それと同じで、魔導適性のランクも、遺伝の要素が大きい。

両親が優秀な魔導師だったら、その間に生まれる子も、A〜Sランクの判定を受けることが多いんだとか。

逆に、両親があまり優秀な魔導師じゃなかったら、その二人の子はD〜Cランクであることが多いとか…。

だけど、これはあくまで大まかな目安でしかない。

私の両親は二人共、Aランク判定を受けた魔導師だけど。

その間に生まれた私は、この通りDランクだし…。

それなのに私の妹は、両親と同じようにAランク。

それに今、お母さんのお腹にいる子も、Sランク判定を受けたと言っていまし…。

お互いDランク同士の夫婦から生まれた子が、Sランクの診断を受けた、なんて例も存在する。

その逆もまた然り。

結局のところ、生まれてみなければ分からないのだ。

一種の賭けのようなもの。

親なら誰でも、より高ランクの、優秀な魔導適性を持つ子供が生まれて欲しい。

そう思うのは当然だ。

ランクが高ければ高いほど、良い魔導学校に入学出来る。

私も二度の適性診断で、Sランクの判定を受けていたから…Sランクのエリート校に入学した。

だけど、入学後に、やっぱりDランクであることが発覚した。

学校としても、私のようなケースは初めてで。

発覚した時は、この異例のケースにどう対応するか、随分困ったらしい。

だけど、この国では、1歳時での診断の結果で入学する学校が決まる。

後になって、今更「やっぱりDランクでした」と言っても、転校することは難しい。

両親はあちこち駆け回って、学校の偉い人や、お役所の人達と話し合い。

私はそのまま転校せず、Sランクの魔導学校に通うことになった。

これは、私に対するお情けでもあるのだろう。

SランクからDランクという、異例の判定を受けて、ショックを受けているに違いない可哀想な私が。

そのまま、Sランクの学校に通い続けられるようにという、恩情。

それに両親だって、Dランクの学校よりも、Sランクの学校に通わせてあげたいに決まっている。

…それにはもちろん、今更学校のレベルを大きく落としたくない…、世間体を守りたいという、打算的な気持ちもあったんだろうが。

だけどそれらの「恩情」は、私にとっては…余計なお世話、以外の何物でもなかった。