神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

私の出生前魔導適性診断は、Sランクだった。

そして1歳時での再診断でも、Sランクのまま。

私の母子手帳には、堂々、Sランクのスタンプが押されていた。

…それなのに。

私は入学した学校で、まったく授業についていけなかった。

周りの子は、先生達に教えられたことを素早く理解し、みんな器用に魔法を使っていたのに。

私は、いっこうに魔法が使えるようにならなかった。

成長と共に、多少は魔法を使えるようになっても。

その魔法は、とてもSランクの診断を受けた者とは思えないくらい、つまらないものだった。

先生方にとっても、このような例は初めてだったそうだ。

この子は本当にSランクなのか?

先生達は、何度もその質問を投げかけてきた。

お母さんが母子手帳に押されたSランクのスタンプを見て、ようやく納得してくれた。

ならば、何故この子は、他のSランクの子が出来ることが、何一つ出来ないのか?という疑問に移った。

本当は出来るのに、出来ないフリをしているのか?

私にそう尋ね、「手を抜かないで、本気でやりなさい」と叱りつけた。

だけど、言われなくても私は手を抜いてなんていなかったし、真剣に魔法を使っているつもりだった。

どうやらこの子は手を抜いている訳ではないらしい、ということが、ようやく先生達にも伝わって。

そして、また同じ疑問に戻ってきた。

この子はどうして、Sランクなのに、こんな低レベルの魔法しか使えないのか?

みんなが、その理由を知りたがった。

両親も、先生達も、…そして私も。

そして、その理由を調べる為に、私は再び、病院に行った。

そこで、3回目となる魔導適性診断を受けた。

これは異例のことだった。

3回も適性診断を受ける子供なんていない。生まれる前と、生まれてから1年後。これだけで充分だ。

充分…だった、はずなのに。

生まれる前、そして生まれてから1年後の診断では、私は確かにSランクだった。

病院にも、役所にも、その記録が残っていた。

だけど。

3回目の診断、私が5歳の時に受けた魔導適性診断で。

私は、なんと最低のDランク判定を受けてしまったのだ。

このケースも…極めて異例、の事態らしい。