神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

Sランク。…それは凄いね。

「ほう、Sランクか…」

「ママ、凄い凄い!」

これには、お父さんも妹も驚き、期待に胸を膨らませているようだった。
 
魔導適性診断で陽性と診断されると、同時にD〜Sランクのいずれかに分類される。

Dランクが最低で、Sランクが最高。

つまり、とても優秀な魔導適性を持つ子供である、と診断されたのだ。

Sランクに分類される子供は凄く少なくて、貴重だ。

将来はきっと、とても優秀な魔導師になる。

お腹の中にいる時から、そのことを証明されているのだ。

お母さんが鼻高々なのも理解出来る。

お父さんとお母さんが生まれた時にも、この出生前魔導適性診断はあった。

二人共、出生前の診断ではAクラスだったそうだ。

そして、今私の横にいる妹も、Aクラスだった。

…だけど。

「そうね…。…でも、生まれる前の診断が、必ずしも正確とは限らないし…」

お母さんは、あまり嬉しそうじゃなかった。

…そうだね。

お母さんは…そのせいで、がっかりすることになったんだもんね。

「ベルーシャみたいなことだってある訳だし、この子も…」

「…母さん」

お父さんが諌めると、お母さんは失言に気づいたようにハッとして。

そして、私の方を向いた。

「ごめんね、ベルーシャ。お母さん、そんなつもりじゃ…」

「…ううん、良いの」

お母さんが何を言いたいのか、私には分かっている。

お母さんが…私に深く失望しているということも。

私に気を遣って、出来るだけ言葉や態度に出さないようにしているけれど。

私も、生まれる前の診断では、Sランクだった。

お父さんとお母さんは、初めての子である私の魔導適性がSランクだと聞かされて、凄く嬉しかったんだそうだ。

…だけど、魔導適性診断は、生まれる前のこの1回だけではない。

出生前の診断は、あくまで推測だ。確定診断ではない。

出生前にはDランク…つまり、最低限の魔導適性しかないと診断されていても。

生まれてみたら、Sランクの魔導適性が確認された…。なんて例も、稀ではあるが、存在する。

だから今では、赤ん坊が1歳になった時点で、保育園に通う前に、もう一度魔導適性診断を受けることが義務付けられている。

そして、この1歳時での適性診断の結果が、将来その子がどのレベルの魔導学校に進学するか…その運命を決めるのだ。

私も、妹も、その適性診断を受けている。

生まれる前は、私の魔導適性はSランクだった。

だけど、1歳時での再診断でも、Sランクのまま。

その結果を知らされた時、両親はとても喜び、私に期待した。

この子は、自分達を越える優秀な魔導師になる。そうに違いない。

大きな信頼と期待を寄せ、私のことを大事に育ててくれた。

だけど。

2歳の時…あの大きな病気をした後。

私の状態は、生まれた時とは一変してしまった。