当時の私は、まだ2歳の子供だったけど。
あの時のことを、未だに覚えている。
高熱が出て、息が苦しく、頭も、お腹も、とにかく至るところが痛かった。
凄く辛くて、今にも死にそうなくらいだった。
と言うか、その時、私は何回か心臓が止まったらしいから。
実際、何回か死んでいたのだ。
だけど、医療魔法のお陰で、死ぬ度に私は蘇生され、息を吹き返した。
現代の進んだ魔導科学ならば、そんな風にして人を生かすことが可能だった。
それでも、全ての人の命を救うことは出来ない。
何度も死に、その度に蘇生されて、また耐えきれずに死んで…。
そんなことを何度も繰り返し、幼い私は、体力も気力も魔力も尽き果てていた。
あの頃覚えているのは、とにかく凄く苦しくて堪らなかった、ということと。
そして、傍らで母親…お母さんが、ずっと私の手を握って泣いていたこと。
その隣ではお父さんが、私の身体をさすり、一生懸命、私の名前を呼んでくれていたこと。
これだけだ。
両親も、病院のスタッフ達も、幼い私を助けようと、懸命に努力してくれた。
それなのに、私の身体は、生きることをあきらめようとしていた。
あまりの苦しさに、全てから解放されたかったのだ。
死にたくないとは思わなかった。
あのままだったら、私の命は持たなかっただろう。
これは後で、両親に聞いたことだけど。
お医者さんに、いよいよ今夜が峠だ、と言われ。
お母さんは泣きじゃくり、お父さんは口を真一文字に結んで、身体を震わせていたという。
いつ死んでもおかしくなかった。
…だけど、私は死ななかった。
神様が…私を、助けてくれたからだ。
「…あれ?」
気がつくと、2歳の私は、知らないところにいた。
辺りは真っ暗で、何も見えない、何も聞こえなかった。
ついさっきまで、傍らに両親がいたはずなのに。
二人の姿も、自分を取り囲むようにあれこれと手を尽くしていた病院のスタッフ達も、誰もいなかった。
幼い私は、途端に不安と恐怖に襲われた。
ここは何処なんだろう。…怖い。
「お父さん…。お母さん…」
私は両親を呼びながら、宛てもなく歩いた。
でも、何処まで行っても、進んでも、暗闇の景色に変化はなかった。
自分が歩いているのか、止まっているのかも分からない。
「お父さん…。お母さん…」
なおも呼びながら、私の目に涙が滲んだ。
二人共、何処にもいない。
私は一人ぼっちなんだ。誰も私の傍にいてくれないんだ。
「お父さん…。お母さん…。…どこ…?」
怖いよ。嫌だ。
一人ぼっちにしないで。私を一人ぼっちに。
その時だった。
「…?」
暗闇の先に、ゆらゆらと揺らめく、赤い光るものが見えたような気がした。
…あれは何だろう?
何だか、凄く怖い…。…怖いところのような気がする。
だけど…あっちに行けば、誰かいるかもしれない。
お父さんとお母さんも、あっちに行っているのかも。
そう思った私は、赤い光の方に進もうとした。
…しかし。
「…何処に行くんだ?」
「え?」
誰かの声が、歩き出そうとした私を引き留めた。
あの時のことを、未だに覚えている。
高熱が出て、息が苦しく、頭も、お腹も、とにかく至るところが痛かった。
凄く辛くて、今にも死にそうなくらいだった。
と言うか、その時、私は何回か心臓が止まったらしいから。
実際、何回か死んでいたのだ。
だけど、医療魔法のお陰で、死ぬ度に私は蘇生され、息を吹き返した。
現代の進んだ魔導科学ならば、そんな風にして人を生かすことが可能だった。
それでも、全ての人の命を救うことは出来ない。
何度も死に、その度に蘇生されて、また耐えきれずに死んで…。
そんなことを何度も繰り返し、幼い私は、体力も気力も魔力も尽き果てていた。
あの頃覚えているのは、とにかく凄く苦しくて堪らなかった、ということと。
そして、傍らで母親…お母さんが、ずっと私の手を握って泣いていたこと。
その隣ではお父さんが、私の身体をさすり、一生懸命、私の名前を呼んでくれていたこと。
これだけだ。
両親も、病院のスタッフ達も、幼い私を助けようと、懸命に努力してくれた。
それなのに、私の身体は、生きることをあきらめようとしていた。
あまりの苦しさに、全てから解放されたかったのだ。
死にたくないとは思わなかった。
あのままだったら、私の命は持たなかっただろう。
これは後で、両親に聞いたことだけど。
お医者さんに、いよいよ今夜が峠だ、と言われ。
お母さんは泣きじゃくり、お父さんは口を真一文字に結んで、身体を震わせていたという。
いつ死んでもおかしくなかった。
…だけど、私は死ななかった。
神様が…私を、助けてくれたからだ。
「…あれ?」
気がつくと、2歳の私は、知らないところにいた。
辺りは真っ暗で、何も見えない、何も聞こえなかった。
ついさっきまで、傍らに両親がいたはずなのに。
二人の姿も、自分を取り囲むようにあれこれと手を尽くしていた病院のスタッフ達も、誰もいなかった。
幼い私は、途端に不安と恐怖に襲われた。
ここは何処なんだろう。…怖い。
「お父さん…。お母さん…」
私は両親を呼びながら、宛てもなく歩いた。
でも、何処まで行っても、進んでも、暗闇の景色に変化はなかった。
自分が歩いているのか、止まっているのかも分からない。
「お父さん…。お母さん…」
なおも呼びながら、私の目に涙が滲んだ。
二人共、何処にもいない。
私は一人ぼっちなんだ。誰も私の傍にいてくれないんだ。
「お父さん…。お母さん…。…どこ…?」
怖いよ。嫌だ。
一人ぼっちにしないで。私を一人ぼっちに。
その時だった。
「…?」
暗闇の先に、ゆらゆらと揺らめく、赤い光るものが見えたような気がした。
…あれは何だろう?
何だか、凄く怖い…。…怖いところのような気がする。
だけど…あっちに行けば、誰かいるかもしれない。
お父さんとお母さんも、あっちに行っているのかも。
そう思った私は、赤い光の方に進もうとした。
…しかし。
「…何処に行くんだ?」
「え?」
誰かの声が、歩き出そうとした私を引き留めた。


