神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

という訳で、『コーポ シューティング・スター』の周辺地域を歩いて探索することにした。

…とはいえ。

なんて言うか、俺達が普段住んでいる王都に比べると…。

「面白いもの、何にもないねー」

「…言うな、ベリクリーデ」

せめて、のどかと言いなさい。のどかと。

この近辺にあるものと言えば。

まずアパートのすぐ近くに、草がぼうぼうに生えた空き地。

それからその数百メートルほど先に、個人経営の小さな店が数軒、並んでいた。

それらの店を、ぶらぶら歩きながら眺めてみた。 

まず手前に花屋。店先に、ちょっと枯れかけた花のプランターと、畑に使うであろう肥料の袋が並べて置いてある。

黄色いエプロンをつけた店員のおばさんが、大あくびしながら、じょうろでプランターに水をやっていた。

歩いている俺達をちらりと見ても、何も言わなかった。

花屋の向かい側には、シャッターの降りた店。

どうやら既に閉店しているらしい。

そのシャッター店の隣には、これまた、小さな寂れた写真屋。

果たして店員はいるのだろうか。窓からこっそり店内を覗いても、誰かがいる気配はない。

あるよな、こういう…やってんのかやってないのか、よく分かんない店。

入るのが躊躇われる。

まぁ、写真屋にはさすがに…用事がないので、入ることはないと思う。

で、その写真屋の数軒隣に、今度は時計屋がある。

こちらも、経営しているのか否か分からないが。

こっそり窓に視線をやると、店の中で眼鏡をかけ、腕時計を修理しているおじいさんの姿が見えた。

一応、この店は営業してるらしいな。

まぁ、時計にも用はないが。

で、その時計屋のすぐ隣に、今度は個人経営の小さなペットショップがある。

店先に、ペット関連の雑誌が並べて置いてあった。

更にそのペットショップの数軒隣に、寂れた佇まいの呉服屋。

その向かい側は、こちらもシャッターが降りていて。

その隣は、今度は個人経営の古書店…。

…以上。

「面白いお店が一つもないねー」

「言うな…」

お前にとっては面白くないかもしれないが。

この辺に暮らす人にとっては、通い慣れた贔屓の店なのかもしれないじゃないか。

…って、そんな滅多に使うような店、ないけども。

「…ジュリス、ここで情報収集、出来るの?」

「…難しそうだな…」

霊園ないし。お寺も神社もないし。

それに、こういう個人経営の店あるある、と言うか。

一見さんお断りみたいな雰囲気があって、おいそれと近寄れない。

俺達みたいな新参者じゃあな…。なかなか気さくには話しかけられない。

「…仕方ない…。帰るか」

「うん、良いよー」

結局、今日一日中うろうろして。

今のところ、収穫、なし。

…自分でも何やってるのか分かんなくなってきたぞ。